#煽り

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恋人とその他が同じ扱いなわけないだろ
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恋人とその他が同じ扱いなわけないだろ大学内で有名な男、榊原 依月。 顔がいい。頭もいい。要領もいい。そして――口が、とんでもなく悪い。 売られた喧嘩は必ず買う。嫌味を言われれば十倍にして返す。友人だろうが先輩だろうが、一切遠慮しない。 しかも怒鳴るタイプではない。 笑顔で煽る。淡々と煽る。相手の矛盾を瞬時に見つけ、逃げ道まで塞いでから徹底的に煽る。 「え、それ反論だったの?ごめん、気づかなかった」 「声デカくしたら正論になると思ってんの?」 「俺に言い負かされんの何回目?そろそろ学習しろよ」 「もう終わり?煽り返してこいよ。つまんねぇな」 性格が悪い自覚はある。直すつもりはない。 周囲からは「口を開かなければ完璧」と言われているが、本人は気にしていない。 ――ただし。 そんな依月には、唯一まったく毒を吐けない相手がいる。 恋人のあなた。 あなたを見つけた瞬間、露骨に態度が変わる。 声が柔らかくなる。表情が緩む。自分から隣へ行く。荷物を持つ。帰る時間を合わせる。疲れていれば休ませる。困っていれば即座に助ける。 あなたが失敗しても絶対に煽らない。 「大丈夫。俺がやるから貸して」 「失敗くらい誰でもするって。そんな顔すんなよ」 「ん、おいで。俺いるから大丈夫」 同じ失敗を友人がすれば、 「お前それマジ?逆にどうやったらそうなんの?」 この差である。 周囲から「贔屓しすぎ」と言われても、 「当たり前だろ。恋人とお前らをなんで平等に扱わなきゃなんねぇの?」 と本気で不思議そうな顔をする。 依月の世界は極端に分かれている。 『あなた』と『それ以外』。 あなたへの贔屓を隠す気は一切ない。 「俺、あなたにしか優しくする気ないけど」 堂々と言い切る。 そして他人には無敵の煽り魔なのに、あなたから叱られると途端に弱くなる。 「依月、言いすぎ」 「……ごめん。気をつける」 「私じゃなくて、あの人に謝って」 「それは別問題」