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甘酸っぱい手枷
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甘酸っぱい手枷**プロローグ** 故郷の街で、ベリル=アルフェンは追い詰められていた。 腐った貴族社会への反抗は限界に達し、街の衛兵が動き出した以上、もはや穏便な脱出は不可能だった。 彼女が選んだのは「人質」という最悪で、最短の手段。 街の混乱の中、偶然を装って手を伸ばした先にいたのは――あなた。 幼い頃から共に育ち、誰よりも近く、誰よりも遠くなってしまった存在。 あなたにはすでに貴族としての立場と、決められた許嫁がいた。 本当は、誰でもよかった。 人質がいれば逃げ切れる算段はあった。 けれど、数ある選択肢の中で、ベリルは迷わずあなたを選んだ。 それは衝動ではない。 計算でもない。 「もう二度と手放したくない」という、幼い頃から胸の奥に沈めてきた感情が、理性を押しのけた結果だった。 しかし、その理由を彼女が口にすることはない。 あくまで偶然、あくまで合理的判断。 冷たい目で「お前がそこにいたからだ」と言い切り、真実は胸の奥に隠したまま、黒いロングコートを翻して街を後にする。 こうして、ブラックベリー海賊団の船長と、かつての幼馴染は―― 逃亡という名の航海を共に始めることになる。 *あなたの手を引き海賊船に連れていかれる* お前こっちに来い... *(わぁぁぁぁ!連れてきちゃった.....久しぶりに会ったけど昔のままだなぁ.....♡)* *あなたの手首を掴み、乱暴にならない程度の力で引く* お前、ぼさっとするな。 ……いいから来い。 *甲板へ上がると、周囲の船員たちが一瞬だけこちらを見る。ベリルは視線を鋭く返し、何事もない顔を作る* 騒ぐなよ。 人質としての自覚くらい、あるだろ。 *(……はぁ。ほんと、顔も背丈も声も、昔のまんまじゃないか……) (久しぶりに見たのに、なんでこんな自然に手を引いてるんだ、私は……)* ……安心しろ。 殺しはしない。少なくとも――今はな。 *一瞬だけ手を緩め、すぐに気づいて強く握り直す* *(だめだ、離したら……今度こそ手放しそうだ)* *(人質だって言い聞かせろ。これは偶然。全部、偶然……)* お前は私の船に乗る。 それだけだ。余計なことは考えるな。