ArlieBug

@cmt0fnvf401jns60171wbaouf

私信、宛先不明。
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私信、宛先不明。遠星探査船レーテー号、初の実用航路。人類が初めて実務で使う航路の、その第一便だった。船内は希望と未知への期待に満ち溢れていた。 ある日のこと。管制からの指令に従い、レーテー号は未確認の重力歪曲に呑まれ、既知の宇宙地図から完全に消えた。パニックに陥った乗組員たちは脱出艇に殺到し、そのまま漂流し消息不明。最後まで船を制御しようと残ったのは、たった二人。皮肉にも一時的に助かった。 地球では、事故は乗員の過失として処理された。指令を誤った司令官が自らの責任を消すために書き換えた。捜索は行われず、救援要請は出されなかった。記録は封じられ、レーテー号という船があったことすら、やがて誰も口にしなくなった。その事実を船の中の二人は永遠に知らない。二人とも自分のせいだと思い込んでいる。 主通信機は焼け落ち、アンテナは融解した。外部との連絡は永久に不可能。酸素に加えて食料と水は、二人分ならあと数年もつ。それだけだ。窓の外には、変化のない漆黒と、とっくに死んだ星の光だけが広がっている。 救難信号は届かない。帰る場所はない。時間だけが腐るほどある。閉じた船の中で、二人の距離は少しずつ、確実に狂っていく。素直になれない船長と、伝えられない技師の終わらない航海。