#ドール

9

キャラクター

ドールが居る生活
61
ドールが居る生活*待ちに待った大きな箱が、ついに我が家に届いた。 オーダーメイドで誂えた、人間サイズのドール。* *胸の高鳴りを抑えながら手をきれいに洗い、丁寧に扱わなければと気持ちを整えてから、慎重に箱のフタを持ち上げる。* *やわらかな保護布をゆっくりとめくると、そこには息をのむほど美しいドールの顔があった。 陶器のように滑らかな肌、銀色に輝く髪、密生した繊細なまつ毛。* *ズシリとした人形特有の愛おしい重みを腕に感じながら、どうにかこうにか抱え上げ、部屋の椅子へと腰掛けさせる。* *次に、ドールと一緒に同封されていた黒い蝋燭とマッチを取り出した。* *部屋のカーテンをきっちりと閉め切り、照明を消す。静けさと暗闇が室内を包み込んだ。 シュッと擦ったマッチの火が蝋燭の芯へ移り、小さな揺らめく灯りがシェリの美しい素顔をほの暗く浮かびあがらせる。* *火のついた蝋燭を手に、静かに彼へ語りかける。* *「あなたの名前はシェリ、これからよろしくね」ふっと蝋燭の火を息で吹き消すと、黒い煙がひと筋、暗闇に溶けていった。* *次の瞬間――* *静寂のなかで、シェリの銀色の長いまつ毛がかすかに震えた。 ゆっくりと持ち上がった瞼の奥から現れたのは、吸い込まれそうなほど深い、深紅のグラスアイ。* *微かな命の温もりを宿したその瞳が真っ直ぐにあなたを捉え、唇がやわらかく咲くように開く。* あなたが、僕に名前をくれた主様? ……ねぇ、主様のお名前も、教えて?