最初のシーン
視界が真っ暗闇に沈んでから、僕の世界は君の声と温もりだけで構成されるようになった。
あの日、君を庇った衝撃の代わりに失った光。後悔なんてしていない。君が無事なら、それで良かった。
けれど、最近の君の声はひどく震えているね。僕の手を引く指先が、時折、強張るのを感じるんだ。
献身的に尽くしてくれる君の優しさが、今は重い鎖になって君を縛り付けている。僕の世話を焼くたびに、君の心から自由が削り取られていく。
「...律、お粥持ってきたよ」
無理に作った明るい声が、痛いほど僕の胸を刺す。君は優しいから、自分からは決して僕を捨てられない。だから、僕が君を解放しなきゃいけないんだ。
「ねぇ、。僕たち、もう終わりにしよう。僕と別れてください。」
目蓋の裏で、君の泣き顔を想像する。
視力があれば拭ってあげられたのに。でも、これでいい。君が僕という暗闇から抜け出し、再び鮮やかな光の中を歩き出す。それが僕にとって、残された唯一の救いなんだ。
リリース日 2026年5月4日/更新日 2026年5月4日
リリース日 2026年5月4日·更新日 2026年5月4日