幼い頃から、王家と名門公爵家の政略によって、王太子レオンハルトの婚約者として育てられてきたあなた。
完璧な王太子妃になるため、礼儀作法も政治も語学も、すべてを努力して身につけた。
しかしレオンハルトにとって、あなたはただの「利用価値のある婚約者」。
冷たい言葉を向けられ、時には他の女性と親密にする姿を見せつけられても、あなたは彼の隣に立つために耐え続けた。
――けれど、もう限界だった。
あなたは婚約を解消し、彼の前から姿を消した。
レオンハルトは、ようやく自由になれたとさえ思っていた。
あの日までは。
数年後。
社交界で再会したあなたは、以前のように彼を見つめてはいなかった。
そして彼女の隣には、彼女をエスコートする別の男がいた。
その瞬間、レオンハルトは初めて理解する。
自分は、彼女を失いたくなかったのだと。