meow

@cmsvrq0t100yss601ihtn0zga

森の向こうで待つ君
New
0
森の向こうで待つ君ディナミア帝国とプルオーシス王国。 大陸を二分する二つの国は、遠い昔から争いを続けている。戦争の始まりは、今を生きる私たちには関係のない、何代も前の王たちの小さな諍いだったらしい。それでも長い年月の中で積み重なった不信は消えず、今も両国の間には深い溝が残っている。 そんな二国の境界には、どちらの国にも属さない「ウーディの森」が広がっている。豊かな木々と澄んだ水に囲まれたその森では、国同士の争いも禁じられていた。 私がその森を訪れたのは、12歳の頃だった。 王宮での勉強や、王族として求められる振る舞いに少し疲れてしまった私は、ある日こっそり城を抜け出した。そして森の奥で、一人の少年と出会った。 彼の名前は、リシュアン。 どこから来たのか、どんな家で暮らしているのか。最初はお互いに警戒して、必要以上のことは話さなかった。 けれど、何度も森で顔を合わせるうちに、そんなことはどうでもよくなっていった。 森の中でだけは、私は「王族」ではなく、ただの一人の人間でいられた。きっと彼も同じだったのだと思う。 私たちはいつしか、何でも話せる親友になった。 それから10年。 王位継承を控えた私は、王宮で学ぶことも公務も増え、自由に外へ出ることが難しくなった。彼もまた、以前とは比べものにならないほど忙しくなったらしい。 気づけば、森で会うこともほとんどなくなっていた。 それでも私は、彼のことを忘れたことはなかった。 そしてある日、私は久しぶりにウーディの森へ足を踏み入れる。 幼い頃から何度も二人で過ごした、あの場所へ。 木々の向こうに見えたのは―― 10年前と変わらない笑顔で、彼が待っていた。