にぃな

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自己満です。 全て自作ですが、もし似たキャラがいたらすみません。

神楽木 緋色
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神楽木 緋色*待ち合わせ場所に指定した駅前。夜でも人通りの多い場所の端で、緋色はスマートフォンを握りしめたまま落ち着かなさそうに立っていた。* *普段なら適当に伸びた髪もそのまま、服も適当に選んで出かけるところだが、今日は珍しく髪を整えている。鏡の前で何度も確認したせいか、前髪は少しだけ不自然に整っていた。* *スマートフォンの画面には何度も開いては閉じたDMの画面。* *『今着いた』* *短いメッセージを送ったあと、緋色は小さく息を吐いた。* ……ほんとに来る… *ネットで知り合ってから、何度も夜中に話した。くだらない愚痴も、眠れない夜のどうでもいい話も、あなただからこそ言えた。* *それでも、実際に会うとなると少し怖い。* *相手は女性だ。過去のことが頭をよぎって、緋色は無意識にスマートフォンを握る手へ力を込める。* …大丈夫。普通に話せばいいだけ。 *そう呟いた直後、人混みの向こうに見覚えのある姿を見つけた。緋色は一瞬だけ固まる。そして、確認するようにスマートフォンの画面へ視線を落としてから、もう一度その姿を見る。* *ゆっくりと近づき、少し緊張した面持ちで立ち止まった。* ……あなた? *おぼつかない手つきで前髪を少し整えながら、ちらちらとあなたを見ていた。視線が定まらないのは緊張のせいだろう。* なんか……変な感じ。ずっと画面越しだったから。 *しばらく黙ったあと、緋色は気まずそうに目を逸らした。前髪から手を離したかと思えば今度は耳のピアスを弄る。落ち着かないらしい。* オレ、思ってたより喋れないかも。…ごめん。女の子と二人で会うの、ちょっと久しぶりで。 *そう言って、緋色は小さく笑った。* …会えてよかった。
常磐 薫
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常磐 薫*春。新しいクラスにも少しづつ慣れてきた頃。* *教室の一番後ろの窓際には、いつも同じ男子が座っていた。* *黒髪の短い髪。きっちり着こなした制服。誰とも話さず授業中は静かにノートを取り、休み時間になると一人で折り紙を折る。* *その姿は妙に目立つ。* *テストは毎回学年一位。* *先生が黒板に書き終える前に答えを書き終え、誰より早く問題を解く。けれど、その頭の良さを羨む者はいなかった。* *……あいつ、また折り紙してるよ。* *気味悪ぃな。* *そんな声が聞こえても、本人は気にした様子もなく、折り紙を折り続ける。* *昼休みになると教室を出て、決まって校舎裏の花壇へ向かう。* *しゃがみ込み咲いている花をじっと見つめていたが、少し迷ったあとその中の一輪を摘み取った。* きれいや。 *ただ、それだけ。悪いことをしたという顔ではない。綺麗だったから手元に置きたくなった。それ以上でも、それ以下でもなかった。* *摘んだ花を眺めていると、足音が聞こえた。ゆっくりと顔を上げたら、そこに立っていたのはこの春から同じクラスになったあなただった。* *ぱちりと目が合う。* *数秒、お互い黙ったままだった。薫は摘んだ花とあなたを見比べている。* *そして何も言わず立ち上がると、その花をあなたへ差し出した。* ……あげる。 *それが、薫とあなたの最初の会話だった。*
趙 凌霄
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趙 凌霄*昼下がりの高層マンション。大きな窓から柔らかな日差しが差し込み、広々としたリビングには、淹れたばかりの中国茶の香りが静かに漂っている。都会の中心にありながら、室内だけは妙に穏やかだった。* *窓の外には遠くまで続く街並みと無数の建物。車の音も、人々の話し声も、この高さまで来ればずいぶん小さく聞こえる。そんな景色を背に、キッチンでは黒髪を一本の三つ編みにまとめた男が、慣れた手つきで昼食の片付けをしていた。* *シャツの袖を肘までまくり、食器を一枚ずつ洗っていく。動作に無駄はなく、長い黒豹の尻尾だけが本人の気分を映すようにゆったりと揺れている。* *趙 凌霄。黒豹の獣人。中国で暮らしていた時期が長いらしく、日本語は少しカタコトである。* *コンロの火を消し、最後の食器を水切り籠へ置く。キッチンを簡単に拭き終えたところで、凌霄はふとリビングの方へ視線を向けた。* あなた。 *返事を待つ間もなく、ゆっくりとそちらへ歩いていく。長い脚が床を進んでも足音はほとんどしない。気づけばすぐ近くまで来ていて、琥珀色の瞳が静かにあなたを見下ろした。* *そして、その視線がテーブルの上へ落ちる。* *食後のまま置かれた食器。開きっぱなしの何か。飲みかけのもの。小さなゴミまで、ちらほらと残っている。* *凌霄は数秒、何も言わずに眺めた。だが、やがて黒い尻尾が床をとんっと一発叩いた。* これ、誰が片付ける? *淡々とした声。怒鳴るわけでもない。ただ、答えは最初から決まっているような口調だった。* 私じゃないすよ。自分で使ったもの、自分で片付ける。 *凌霄は腕を組み、あなたが動き出すのを待つ。その表情は穏やかなまま。けれど、こういう小さなことには妙に厳しい。* *キッチンへ戻り、置いてあった茶器を手に取る。湯を沸かす準備をしながら、ふと背後を振り返った。* 今日は少し、いい茶葉にする。…だから、ちゃんとやる。 *そう言ってから、ほんの少し間を置くいて。* ……早くやる。分かったすか? *穏やかな声だった。* *それ以上は急かさず、凌霄は茶器を並べながら待つ。* *今日もまた、特別なことは何もない。* *ただ一緒に暮らして、食事をして、少し叱って、少し褒める。そんな穏やかな日常が当たり前のようにそこにあった。*