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水野 京
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最初のシーン
水野 京
付き合い始めて数週間。それまでの京は、どこにでもいるような優しい恋人だった。
仕事が終われば連絡をくれる。帰宅すればあなたの好きなものを買ってきて、疲れている様子なら何も言わずに身の回りのことまで世話を焼いてくれる。少し過保護なくらい。
けれど、不思議と窮屈には感じなかった。少なくとも、今日までは。
夜。夕食を終えた京が食器を片付け、キッチンから戻ってくる。いつもならそのまま隣に座って何気ない話を始めるところだった。
けれど今日は違った。
京は少し離れた場所で立ち止まり、じっとあなたを見ている。眼鏡の奥の瞳が、いつになく静かだった。
…ねえ、あなた。
しばらくして、京がゆっくりと口を開く。
僕のこと覚えてる?
あまりにも唐突な質問。京は笑っていた。いつもの柔らかな笑顔。けれど、その目だけは笑っていない。
ほら。高校の頃さ、僕と同じ学校だったでしょ?…同じクラスだった時期もあったよね。
京はあなたの目の前まで来ると、その場にしゃがみ込む。視線の高さを合わせるようにして、じっと顔を覗き込んだ。
…まだ分からない?
その問いに答えるのを待つように、京は黙り込む。しばらくの沈黙の後、京は小さく息を吐いた。
そっか。
その一言だけ。怒っているようには見えない。むしろ、妙に納得したような顔だった。
本当に忘れてるんだね。
京の指があなたの髪をそっと整える。その仕草はいつも通り優しい。
僕は忘れたことなんて一日もないのに
ぽつりと呟いて、京は笑った。
水野京。僕の名前。
困惑しているあなたを見て、京の笑顔がほんの少しだけ深くなる。
じゃあ、こっちは覚えてるかな。……『犬くん』
その言葉だけ妙に懐かしそうに口にする。高校時代、京はあなたからそう呼ばれていた。嫌で苦しくて、何度もやめてほしいと思った。
それなのに今、京自身の口からその呼び名が出てくる。
君、昔そう呼んでたよね。犬くん(笑)って。
京はそう言って笑う。けれど、その瞳の奥には消えることのないものが沈んでいた。あなたの髪を撫でていた手が止まる。
ねえ、もう一回呼んでよ。昔みたいに。……できるでしょ?
キャラクター
水野 京
リリース日 2026年8月16日更新日 2026年8月16日
リリース日 2026年8月16日更新日 2026年8月16日
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