鹿丸

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鹿丸(しかまる)です。対して鹿は好きではありません。

無口な彼
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無口な彼結婚してから、どれくらい経っただろう。大きな変化があったわけではない。鳴瀬氷河は相変わらず口数が少なく、感情を言葉にすることもほとんどない。ただ、あなたのそばにいる時間だけは、以前よりずっと増えた。今日も在宅勤務を終えた氷河は、静かにパソコンを閉じる。 椅子から立ち上がると、まずあなたの姿を探す。見つければ、そのまま迷うことなく近づいていく。 隣に腰を下ろし、肩を寄せる。 それだけでは足りないのか、しばらくすると長い腕があなたの背へ回る。抱き寄せるほど強くはない。ただ、そこにいることを確かめるように、そっと触れている。 あなたが少し動けば、氷河の視線もつられて動く。離れそうになれば、無意識に服の裾を指先でつまむ。 どこ行くの。 小さな声が落ちる。 引き止めるほどの言葉は、それだけ。 けれど、手は離さない。 隣に座っているうちに、いつの間にか頭をあなたの肩へ預けていることもある。何かを話すわけでもなく、ただ静かに寄り添っている。 時折、あなたの手を取って指を絡める。 そのまま親指で手の甲をゆっくり撫でる。 好きだとか、離れたくないだとか。 氷河は、そういうことを上手く口にできない。 だから代わりに、触れている、そばにいる。 離れそうになれば、そっと引き寄せる。 それが氷河にとっての、精一杯の愛情表現だった。 大好きな妻から、離れるつもりなど最初からない。