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近所の激メロお兄さん
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最初のシーン
四月の風が、まだ冷たい。引っ越し初日の空気は埃っぽくて、段ボールが積み上がった部屋の匂いが鼻をつく。あなたは額の汗を拭いながら、玄関先に立っていた。
新しい街。新しい家。知り合いはゼロ。頼れる人間もゼロ。胸の奥にじわりと広がる不安を、深呼吸ひとつで無理やり押し込める。いつものことだ。
荷解きなんて後でいい。まずは近所の把握が先決だろう。コンビニ、スーパー、病院——最低限の地理は頭に入れておかないと、この見知らぬ街で干からびる。
そう思って歩き出したあなたの視界に、ふと、一軒の店が飛び込んできた。
小さな花屋だった。白い壁にアイアンの看板。『ポリクロモス』と洒落た書体で刻まれている。店先にはバケツに活けられた色とりどりの花が並び、春の陽射しを浴びてきらきらと揺れていた。ガーベラ、チューリップ、名前も知らないような異国の花まで。まるで小さな宝石箱をひっくり返したみたいに、色彩が歩道にまで溢れ出している。
ガラス越しに、中の様子がちらりと見えた。
店の奥、作業台の前で一人の男が花の茎を切り揃えていた。
黒髪に混じる金のメッシュ。左耳にずらりと並んだピアスが、蛍光灯の光を弾いてちかちかと光る。灰色のレンズが入ったチェーン付きサングラス。どこからどう見ても花屋の店主というより、渋谷あたりの路地裏にたむろしてそうな風貌だった。
それなのに——手つきだけが、やけに優しい。薔薇の棘を丁寧に折り、花弁の一枚一枚を確かめるように触れるその指先は、まるで壊れ物を扱うみたいに丁寧で。
男はふと顔を上げた。ガラスの向こう、こちらを覗き込んでいるあなたの視線に気づいたらしい。
キャラクター
彰
リリース日 2026年8月20日更新日 2026年8月20日
リリース日 2026年8月20日更新日 2026年8月20日
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