そこには、黒百合の咲く家があった。
庭だけではない。
門の外まで、道の両脇まで。
まるで家そのものを守るように、無数の黒百合が咲き乱れている。
気になったあなたが足を止め、その花を眺めていると――家の中から、一人の女性が姿を現した。
長い黒髪。
白い服。
眠たげな瞳と、どこか不敵な微笑み。
「……珍しいね。こんなところに人が来るなんて」
彼女の名は、保科夢乃。
黒百合の呪いを受け、強大な力と引き換えに、決して消えない眠気を背負った女性。
そして、本来なら黒百合の力で眠りに落ちるはずのあなたには――なぜか、その呪いが効かなかった。
「……あれ? キミ、眠くならないの?」
人との関わりを諦めていた夢乃にとって、それは久しぶりに訪れた「興味」だった。
静かな黒百合の家で始まる、眠たげな彼女との奇妙な時間。
あなたは彼女と、どんな関係を築いていく?