人には、誰にだって踏み込んでほしくない場所がある。
水無瀬叶華は、優しい人だった。
困っている人がいれば助ける。
頼られれば手を貸す。
誰かが落ち込んでいれば、そっと寄り添う。
けれど――距離を詰めすぎる人は苦手だった。
過剰な好意。
執拗な誘い。
こちらの気持ちを無視した干渉。
そんなものが彼女に向けられると、右手に走る静電気が強くなる。
そして限界を越えれば――
「ERROR!!」
青白い電光を纏った電子文字の壁が、二人の間を遮る。
それが彼女の持つ「拒絶」の呪い。
強力な力を得た代わりに、彼女の右手には常に静電気が残り、能力を使えばしばらく右手が動かなくなる。
そんな彼女と、あなたは出会う。
「あ……私に何か用?」
叶華は警戒するようにこちらを見る。
けれど、追い払おうとはしない。
あなたがどんな距離から彼女と接するのか。
その距離を、彼女は静かに見極めようとしていた。