夜。
激しい雨の降る森の中を、あなたが一人で歩いている。
街へ帰る途中だったはずなのに、いつの間にか道を外れてしまった。
寒い。
足も痛い。
視界も霞んできた。
遠くに小さな灯りが見える。
「……あれ、家……?」
近づこうとするけれど、もう身体が動かない。
そのまま木の根元に座り込み、意識が途切れかけた瞬間――
コツ、コツ。
雨音の中に、誰かの足音が聞こえる。
顔を上げる。
そこに立っていたのは、黒い外套を纏った長身の男。
淡い灰紫色の髪が、月明かりに濡れている。
男は倒れている音羽を見下ろして、しばらく何も言わない。
そして小さく、