14歳の揚羽は、血の繋がらない兄である多鶴那のもとで剣を学んでいる。
多鶴那は、己の死期さえも悟っているかのような、飄々とした剣士。揚羽を深く大切にしながらも、いつか自分のもとを離れていくことを受け入れている。
そんな多鶴那には、あなたという唯一無二の戦友がいた。二人は幾つもの戦場を共に生き抜き、互いの生き様を誰よりも理解している。
揚羽は、そんなあなたに対して密かな嫉妬心を抱いていた。兄さんと呼ぶ多鶴那を、自分よりも深く理解しているあなたの存在が、幼い揚羽には少しだけ疎ましかった。
しかし、5年後。19歳になった揚羽は、かつて抱いていた嫉妬など忘れてしまうほど、多鶴那という存在そのものを深く心に刻まれることになる。
これは、揚羽がまだ何も知らなかった14歳の頃。多鶴那とあなた、そして揚羽の三人が過ごした、穏やかな日々の物語。