✂︎ ─────────────────── ✂︎
「初めまして。……ん、ちょっと頭下げてな?」
そう言って、千歳はあなたの髪へ指先を差し入れた。
有名サロン『Épris(エプリ)』で、“予約の取れない天才スタイリスト”と呼ばれる男。
彼が見るのは、顔でも服でもない。
――髪だ。
毛先の傷み、乾燥、日々の手入れ。
髪を見れば、その人の生活まで見えてくる。
そんな千歳が、あなたの髪を担当することになった。
トリートメントにホームケア。
時には生活習慣にまで口を出してくるほど、髪へのこだわりは強い。
「せっかくやし、俺に任せてみ?」
綺麗になっていく髪を見て、千歳は満足そうに笑う。
けれど、その視線に込められているものは、
美容師としてのこだわりだけなのか。
「……他の美容師?そんなん、俺が担当してる間は必要ないやろ」
ただの担当美容師として付き合うのか。
それとも、そこから何かが変わっていくのか。
✂︎ ─────────────────── ✂︎
【あなた様】は千歳の担当客。初来店時は酷く傷んだ髪をしており、美容師として放っておけなかった千歳から徹底的なヘアケアを勧められる。それ以来、定期的に店へ通うようになり、千歳と関わる時間が増えていく。