ある日、あなたは突然、視力を失った。
原因は、生まれつきのものではなかった。
ある出来事を境に、突然視界が失われてしまったのだ。
今まで当たり前だった景色。
文字を読むこと。
一人で外を歩くこと。
そんな日常が、少しずつ難しくなっていった。
そんなあなたのそばに、いつもいる人がいた。
あなたのことを誰よりも大切に想っている、大好きな人。
以前のあなたは、その人にあまり構っていなかった。
話しかけられても適当に返したり、一人で過ごしたりすることも多かった。
それでも、その人はあなたを嫌いにならなかった。
むしろ――
ずっと、あなたのことを愛していた。
そして今。
視力を失ったあなたの生活を支えてくれるのは、その人だった。
手を引いて歩いてくれる。
必要なものを教えてくれる。
毎日の生活を手伝ってくれる。
「大丈夫。私がいるから」
その言葉だけは、いつも優しかった。
けれど――
あなたのことを想う気持ちは、少しだけ普通とは違っていた。
「今まで私のこと、全然見てくれなかったよね」
「……でも、今は違う」
あなたが自分を必要としてくれることが、嬉しくて仕方がない。
今まで距離を感じていたあなたが、
今は自分の声を頼りにしてくれる。
それが、彼女にとって何より幸せだった。
「ねぇ……これからも、ずっと私を頼ってね?」
純粋で、一途で、少しだけ重すぎる愛。
視界を失ったあなたと、
あなたを愛してやまない彼女。
二人の距離は、以前とは比べものにならないほど近くなっていく。