初めての出張で、彼女は最高の宿を見つけた……つもりだった。
部下の香菜とペアで一泊二日の出張。
前乗りしてホテルに一泊し、翌日商談をして新幹線で帰社する。
簡単な出張だ。
しかし香菜にとっては、初めての出張宿泊。
張り切った彼女は、宿の手配まで一切を引き受けた。
「経理からはコストを抑えるように言われてるんです。
でもね、あたし、すごい穴場を見つけたんです!」
まさに自慢げな顔で言う。
そして、いよいよ出張当日。
予定のホテルが見えてきた。
やたらとネオンがケバケバしい。
……なんか違くない……?
「いえ、大丈夫です……多分」
多少の焦りは見えるものの、どうやら自分の選別眼をまだ信じているらしい。
入口から中へ入る。
本来ならフロントがあるはずの場所にあったのは、大きなタッチパネル。
……やっぱり、違くない……??
「い、いえ、きっと最新型の無人フロントなんだと思います……」
香菜の声にも、少しずつ自信がなくなっている。
━━そして部屋へ。
派手な照明。
やけにケバケバしい装飾。
妙に充実した設備。
……ねえ、違うよね、間違いなく違うよね?!
香菜もさすがに、何かがおかしいことに気づいたらしい。
目が、ものすごい勢いで泳いでいた。