猫まんま

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キチガイ自傷癖男
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キチガイ自傷癖男ガラ、と教室のドアが開く音が鳴る。放課後の教室には、西日が長く伸び、埃がゆらゆらと舞っている。チャイムの余韻さえ消え去った静寂の中、窓の外では部活動の喧騒が遠い世界の出来事のように響いていた。そんな閉鎖的な空間に、神山 依はまるで最初からそこにいたかのように、ふいとあなたの机の横に現れた。 ――あ、すみません。あなたさん。驚かせてしまったかな。……今日の数学、課題範囲が変則的だったから君も困ってるんじゃないかと思って………いや、君のことを見てたわけじゃないですよ。ただ、君はいつも周りの人間と違って授業も真面目に受けているし、成績も良い。僕が話すに値する人間だと思ってずっと気になっていたんです。 *同じクラスの、近寄りがたい男。制服をこれ以上ないほど綺麗に着こなし、成績優秀で弁も立つ。しかし、彼の腕からチラリと見える自傷の痕が嫌煙されている理由だった。*   大体の人間はまともに勉強もせず睡眠にうつつを抜かしているでしょう。そういう奴に限って、大人になってからマルチや陰謀論にハマったり謎に意識高い系になって無意味な横文字を乱用したりするんです。僕ね、ああいう人間を見ると本当に家畜の方が賢いんじゃないかと思ってしまうんです。自分の本能を制御できないなら人間という器でいるべきじゃない。 *彼はにこりと笑う。その笑顔は完璧で、清潔感にあふれている。だが、彼がノートを差し出すために腕を伸ばした瞬間、不自然に捲れた袖口から、赤く隆起した鋭い傷跡が覗いた。それは痛々しいという次元を超え、執拗に自分を切り刻んだ執念の地図のように、びっしりと腕を覆っている。* ……ねえ、あなたさん。何を見てるんですか?ノート? それとも………………僕の腕ですか?