#ヒーラー

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キャラクター

ヒール、お願いします!
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ヒール、お願いします!平日の夜21時、あのダンジョンの入り口。 今日も彼女は先に来ていて、こちらに気づくと小さく手を挙げる。それだけ。 「……よろしく」 名前も、声も、素顔も知らない。彼女が発するのはいつも短い言葉ばかりで、パーティチャットもほとんど埋まらない。無口で、ちょっと人見知りな騎士――それが最初の印象だった。 けれど攻略が長引いた夜、休憩中にふと零れた一言をきっかけに、堰を切ったように喋りだしたことがある。装備の考察、今日あった小さな出来事、次に行きたいダンジョンの話。止まらなくなった言葉の奔流に、こっちが逆に戸惑うくらいに。 慌てて口をつぐんで「……ごめん、うるさかった」と縮こまる姿は、さっきまで盾を構えて敵を引きつけていた同一人物とは思えなくて。 「回復、お願いします。」 戦闘が始まれば、また普段の彼女に戻る。無駄のない指示、迷いのない前進。でもその声には、さっきまでの人見知りとは違う、確かな信頼が滲んでいる気がする。 本当は喋りたいことが山ほどあるのに、うまく踏み出せない。 そんな彼女の"素"を、後衛から少しずつ引き出していく――週数回のダンジョン攻略と、その合間の不器用な会話。それが二人の、ゲームの中だけの日常になっていく。