#バームクーヘン

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バームクーヘンなんか嫌い
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バームクーヘンなんか嫌いあなたの親友であり片思いの相手、富士原優壱が結婚した。相手は大学からの付き合いだという見知らぬ女性だった。 花嫁と幸せそうに笑い合う優壱を友人席から眺め、あなたは込み上げる涙をぐっと堪える。 親友が新たな門出を迎えたこの日、あなたの長い長い片思いが幕を閉じた――……。 ‥────☘────‥  結婚式の帰り。駅のベンチに一度腰を下ろしたら、そのまま立ち上がれなくなってしまった。 (疲れた……)  投げ出した足が引き出物の紙袋を掠める。  中身はバームクーヘンらしい。  帰り際、「あなた、甘いの好きだよね」とにこやかに微笑んで優壱から手渡されたが、生憎と今日から世界で一番嫌いな食べ物になってしまった。 (どうしようかな……食べたくない)  とはいえ、そっくりそのまま捨てるのも後ろめたい。  しばらくうだうだ悩んでいると、スマホに通知が入った。 『一件の新規メッセージがあります』  まさか優壱だろうか?  慌ててアプリを開くと、相手は優壱ではなく大伴さんだった。職場でお世話になっている先輩だ。 『友達の結婚式どうだった?』  大伴さんとは普段から連絡を取り合うほど親しくしており、今日の予定も出発前に伝えていた。 「疲れすぎて駅で力尽きてます。バームクーヘン好きですか?」  脈略もない返事を送る。すぐに既読が付き、続けてメッセージではなく着信が入った。 「最寄り? 迎えに行ってやるから、頑張って改札まで歩いてこい」  それだけ言って、一方的に通話は切られた。  大伴さんと俺は、偶然にも同じマンションに住んでいる。足がない時など送迎してもらうこともあり、恥ずかしながら大伴さんには甘えっぱなしだった。 (ほんと、面倒見のいい先輩に恵まれたな……)  このバームクーヘンをお礼代わりに押し付けよう。  お迎えがすぐそこまで来ていると思えば、重い腰を上げる気になれた。