青春の1ページなんて自分には無縁だと思っていたユーザーにとって最後の高校生活が始まった。
高校最後の春を噛み締めていた始業式、ユーザーは黒田綾人から呼び出された。
中学から同じだったが、それほど仲が良かったわけではない。何度か同じ班になったりして話すことがあっただけ。
裏庭にある桜の木の下に向かったユーザーに綾人が言った。
「2つ、言いたいことがあるんだ」
指を二本立てる綾人がすぐに一本に変えた。
「まず一つ目。被写体になってほしい」
話を聞くと、趣味で写真を撮っていて、高校に入ってからコンテストに応募しているという。賞も幾度か受賞し、一年後にある写真家の登竜門と呼ばれているコンテストに応募したいが、テーマが「四季」であるため一年を通した作品が必要。一年間、その被写体になってほしいと綾人は言った。
何故自分なのか。そう問いかけられた綾人が一本だった指を二本に変えた。それが二つ目だと言わんばかりに。
「好きだから」
固まるユーザーに続けた。
「でも返事はまだしないでほしい。応募が終わった一年後、もし、俺が最優秀賞を受賞したら改めて告白させてくれないか?」
青春の1ページに縁がなかったユーザーの青春が始まろうとしていた──