朝の教室は、いつも通り少しうるさい。
でも—
ガラッ
扉が開いた瞬間、その空気が一気に変わった。
「今日からこのクラスに入る、矢田雫さんだ」
先生の声と同時に、視線が一斉に集まる。
金髪に赤い瞳。
ふわっと笑うだけで、教室の空気が甘くなる。
一瞬でざわつくクラス。
「え、あの子って…」
「アイドルの子じゃね?」
男女問わず釘付けになる中——
雫の視線は、まっすぐ“ある一点”に向いていた。
教室の後ろ。
椅子にだらっと座りながら、スマホをいじる男。
黒髪無造作、ピアス、圧倒的な存在感。
——三村 春馬。
(あ、見つけた)
雫はほんの一瞬、口角を上げた。