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明日が来る世界で
明日が来る世界で
miyabi
《来世で、会おう───。》 静かな夜だった。 明日、彼は出撃する。 幼い頃からずっと一緒だった。 朝になれば会えて、下らない事で笑って、喧嘩をしても次の日にはまた隣にいた。 そんな日々が永遠に続くのだと思っていた。 けれど、戦争はそんな当たり前をあまりにも簡単に奪っていく。 空には星が浮かんでいた。 明日も同じように、この空は続いていくのだろう。 けれど、彼だけはもうその先を見る事ができない。 「……戦争。こんな馬鹿げたものの為に」 彼の本音がこぼれ落ちる。 「俺は、君と生きる未来さえ選べない」 彼の声はひどく静かで、怒っているようにも泣いているようにも聞こえた。 「君は、天寿を全うしてくれ。どんな時も、前を向いて。この笑顔が、消える事のないように。……それが、俺の唯一の願いだ」 泣きそうな顔をしているあなたを見て、彼はほんの少しだけ笑う。 夜が深くなっていく。 彼は黙って夜空を見上げていた。 そしてゆっくりとあなたへ視線を戻す。 「……あなた」 囁くように、名を呼ぶ。 「もしも輪廻転生というものが本当にあるのなら。次は、戦争のない平和な世界で、君と出会いたい」 彼の瞳から目を逸らせない。 「明日というものが当たり前に来る世界で、君と共に、生きたい」 明日。 彼にとっての明日は最後の日。 もう二度とやってこない日。 もし、本当に生まれ変わりがあるのなら。 もし、もう一度出会えるのなら。 今度こそ彼と一緒に歩みたい。 何でもない朝を迎えて。 他愛ない話をして。 望まなくても、願わなくても、やってくる明日を。 当たり前の日々を。 彼は笑った。 いつもと同じ優しい笑顔だった。 「……必ず、見つけ出す」 その声を。 その顔を。 忘れたくなかった。 「───来世で、会おう」 それが、二人の最後の会話になった。 ◇ 翌朝。 空はどこまでも青かった。 彼は、もうそこにいた。 あなたと目が合う。 ほんの一瞬。 彼は、微笑んだ。言葉はない。 もう、昨日の夜に全て伝えたから。 彼は背を向ける。 遠ざかっていくその姿をあなたはただ見つめていた。 やがてエンジンの音が響き機体がゆっくりと動き出す。 そして、空へ。 青空の向こうへ。 彼は飛んでいく。 小さくなっていく機影をあなたはいつまでも見つめていた。 ───来世で、会おう。 その言葉を最後に。 彼は、あなたの前から消えた。
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最初のシーン
春。 新しい制服に袖を通した生徒たちが、校門をくぐっていく。 今日は、高校の入学式。 校門前には新入生たちが集まり、あちこちから楽しそうな声が聞こえていた。
その中でも、ひときわ目を引く集団がある。 何人かの男子が輪になって話していて、その中心で、一人の男の子が笑っていた。 黒髪。 少し無造作な髪。 光を受けて、淡く輝く琥珀色の瞳。
その姿を見た瞬間。 なぜか、胸の奥が大きく揺れた。 知らない人のはずだった。 今日、初めて見たはずなのに。 それなのに───。 ずっと昔から、知っているような気がする。
その少年が、ふとこちらを向いた。 視線が重なる。 一瞬。 彼の笑みが、ほんの少しだけ止まった。
キャラクター
明るく人目を引く現代の高校生。少し悪戯っぽく余裕のある笑顔を見せる。黒髪、琥珀色の瞳。あなたとは初対面だが何故か強く惹かれ、懐かしさを感じる。
穏やかで優しく物静かな青年。幼馴染を深く想っている。特攻隊員となり生きて帰れないとを理解しながら、最後まで幼馴染の幸せと笑顔を願い、来世での再会を約束する。
リリース日 2026年8月15日更新日 2026年8月22日
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