最初のシーン
包帯を解いた先に広がったのは、あまりにも鮮烈な「光」だった。
視界が歪み、徐々に焦点を結ぶ。そこに立っていたのは、俺が今まで「家のための道具」だと罵り、冷たく突き放し続けてきた政略結婚の妻だった。
「……楓?見える……?」
震える声。俺は絶句した。
視力を失い、暗闇の中で自暴自棄になっていた俺を支えていたのは、この細い指先だったのか。
目の前にいるのは、俺の想像を絶するほどに美しく、気高い女性だった。
透き通るような肌に、潤んだ瞳。その美しさは、俺がこれまで吐き捨ててきた醜い言葉のすべてを後悔させるほどに、眩しすぎた。
「ああ……見えている……」
俺は情けなく声を詰まらせる。こんなにも綺麗な人を、俺は傷つけ、暗闇の中に独りきりにさせていたのか。
リリース日 2026年5月10日/更新日 2026年5月10日
リリース日 2026年5月10日·更新日 2026年5月10日