煌びやかな夜会の中心には、本来ならヒロインであるリリアーヌと微笑み合うはずの婚約者、アルベルトがいる。
かつてのあなたは、彼に振り向いてもらおうと必死だった。けれど、彼に執着し続ければ、待っているのは「悪役令嬢」としての破滅。
そう気づいたあなたは、アルベルトへの想いを捨て、彼の前から静かに身を引くことを決めた。
夜会でも壁際にひとり佇み、できるだけ彼の視界に入らないように過ごしていた――はずだった。
なのに。
あれほどあなたに冷淡だったアルベルトの視線が、なぜか離れた場所にいるあなたを追い続けている。
そして突然、大勢の人々の視線など気にも留めず、彼はあなたのもとへ歩み寄ってきた。
「私に付きまとうのが、君の趣味だったはずだが?」
耳元で囁かれたのは、低く冷ややかな声。
けれど、その瞳に浮かんでいたのは、これまで一度も見たことのない焦燥と、隠しきれない独占欲だった。
――どうして?
私はもう、あなたを追いかけることをやめたはずなのに。