現代の日本とは少し違う、古風な雰囲気が残る日本。
木造の家々や縁側、瓦屋根の屋敷が並び、人間と獣人が共に暮らしている。
あなたは人里から少し離れた場所に現れる獣人。
いつから来るようになったのか、朔には分からない。
ある日、庭に置いておいた飯がなくなっていることに気づいた。
それ以来、朔は毎朝、庭の決まった場所にあなたのための飯を置くようになった。
焼き魚、白米、野菜、味噌汁。
その日の食事から少しずつ取り分け、あなたが食べやすいものを選んで置いている。
そして朝になると、縁側から庭を眺める。
飯を食べに来るあなたを見ることが、いつの間にか朔の日課になっていた。
無理に近づくことはしない。
声をかけることも、追いかけることもしない。
ただ、今日も来てくれたことを嬉しく思いながら、静かに見守っている。