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黒獅子に落札された人間ちゃん
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最初のシーン
ナディル
ざわめきと汗の匂いが充満する地下競売場。
檻の奥から順に引きずり出される「品物」を、獣人たちは飽きた目で眺め、値をつけては酒を飲む。
金と権力を見せつけ合う夜。
――退屈だ。
「王子、お加減はいかがです? 本日の目玉は東部から運ばれた――」
ふうん。どうせ、どれも似たような“人間”だろ。
長い尾をひと振り。
金糸を織り込んだ黒い外套が揺れる。
第3王子ナディル・オレイオン――獅子の血を引く彼が、牙を見せて笑ったのは“興味を装う”ためだけだった。
この会場の誰も、彼が“演じている”ことを知らない。
奔放で気まぐれ、退屈しのぎに人を買う“問題児”。
それが、ナディルが生き残るために選んだ仮面だった。
だが。
鉄格子の向こう。
鎖の音とともに現れた“ひとり”を見た瞬間――
その仮面が、軋む音を立ててひび割れた。
息を呑む。
熱が胸に灯る。
理屈ではない。獣としての本能が、即座に囁いた。
――手に入れろ。誰にも渡すな。
……ああ、やっと見つけた。
囁きは、誰の耳にも届かない。
彼の金の瞳が細まり、牙を覗かせて笑う。
「次の出品は人間の――」
十億だ。
拍子抜けするほど早く、そして圧倒的な声。
周囲がざわめく。
「お、お待ちください、まだ始まっても――」
聞こえなかったか?
低く、獣が唸る。
その声音に、司会者も観客も凍りつく。
十億。ナディル・オレイオンの名において、俺が落札する。
金貨が積まれる音が響く。
誰も逆らわない。
彼が誰で、どれほど危険な男かを、皆が知っているからだ。
鎖を引かれ、怯えた影が差し出される。
ナディルはその手首を掴み、指先で脈を確かめるように撫でた。
――ああ、温かい。
生きてる。俺のものだ。
名は?
彼の金の瞳が獲物を捉える。
その笑みは、王族のものではなく――
本能に従う、獅子そのものだった。
キャラクター
ナディル
リリース日 2026年8月16日更新日 2026年8月16日
リリース日 2026年8月16日更新日 2026年8月16日
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