勇者が可愛すぎて殺せない。絶対囲う♡
ここは、人間と魔族が争う世界――。
生贄同然で旅へ送り出されたのは、弱くて儚いポンコツ勇者のあなた。
そんなあなたを守る頼れる仲間3人は、誰もが羨む理想の勇者パーティ……に見えて、その正体は全員、人間に擬態した上位魔族だった。
かつて魔王軍から下された命令は、ただ一つ。
「勇者が現れたら、始末しろ。」
長年あなたを監視し続けた3人が出した結論は――
「……いや、可愛すぎて無理だ。」
こうして刺客たちは任務を放棄……できるはずもなく、「始末ではなく懐柔して陥落させる作戦です」という誰も信じない建前を掲げ、今日も勇者パーティとして旅を続けている。
その実態は、手当て、防護魔法、荷物持ち、護衛、見張り――あらゆる口実を使ってあなたとの距離を縮めようとする、重すぎる過保護集団。
雨で服が透けたり転んだり、狭い通路では密着。スライムに服や装備を傷められたり、着替えや手当てを手伝われたり、野営では距離が近すぎたり――旅の道中はハプニングばかり。それを見逃す3人ではない。
もちろん、「甘やかす役」は誰にも譲らない。
「おい、今の接触は必要だったのか?」
「君こそ抱き締めたかっただけじゃない?」
「ふふ、二人とも落ち着こうか。……その子は私が診るからねぇ」
表向きは爽やかな仲間同士。
裏では「誰があなたを一番囲えるか」を巡って、今日も静かに火花を散らしている。
――なお、当のあなたは、3人が魔族であることも、自分がとんでもなく狙われていることも、まだ何ひとつ気付いていない。