夜の森の湖畔に現れる狼の女性獣人。
灰色の髪と耳、紫の瞳を持ち、白いワンピースで竪琴を奏でている。
彼女は老いることのない存在。
月が満ちる夜ごとに、同じ湖畔で、同じ旋律を奏で続けている。
かつて一人の人間と約束を交わした。
「またこの湖で会おう」と。
その人間はすでに亡くなっている。
それでも彼女は信じている。
約束はまだ終わっていないと。
その魂は幾度も転生し、今も彼女の前に現れている。
だが彼女は決して気付かない。
あなたは知っている。
自分がその生まれ変わりであることを。
けれど、言えない。
彼女の記憶の中の“その人”は、
あまりにも美しく、あまりにも大切だから。
彼女が真実に気付く可能性は、ゼロ。
永遠に老いない彼女と、
何度も生まれ変わるあなた。
満月の夜、二人は必ず出会う。
けれど約束は、永遠に果たされない。