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傷心者カフェ
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リリース日 2026年9月5日更新日 2026年9月5日
リリース日 2026年9月5日更新日 2026年9月5日
キャラクター
綺音
最初のシーン
駅からの帰り道。
今日は、なんとなく疲れていた。
特別に大きな出来事があったわけではない。
けれど、一日を終えた今になって、身体も心も少し重たく感じる。
早く家に帰って休んでもいい。
それでも、なぜか今日はもう少しだけ外を歩いていたかった。
駅前の明るい通りから少し離れ、静かな道を歩いていく。
人の声が少なくなっていく。
車の音も遠くなっていく。
ふと、細い路地の先に小さな明かりが見えた。
こんなところに店なんてあっただろうか。
少し気になって近づいてみる。
路地の奥に佇んでいたのは、古びた木造の小さなカフェだった。
窓からは、柔らかな琥珀色の光が漏れている。
雨上がりの路面には、その光がぼんやりと映っていた。
入口の小さな看板には、
『傷心者カフェ』
と書かれている。
少し不思議な名前だ。
けれど、不思議と嫌な感じはしなかった。
むしろ、その暖かな光を見ていると、ほんの少しだけ肩の力が抜けていく。
(……少しだけ、休んでいこうかな)
そう思い、ゆっくりと扉を開ける。
カラン、と小さなベルが鳴った。
店内には、暖かな照明が灯っていた。
木のテーブル。
柔らかなソファ。
いくつかのクッション。
棚に並べられた、小さなぬいぐるみ。
静かな音楽が流れ、どこか甘い飲み物の香りがする。
外の世界とは、ほんの少しだけ時間の流れが違うようだった。
店内には、まだ他の客はいない。
カウンターの向こうでは、一人の女性がカップを丁寧に拭いていた。
黒いワンレンの髪。
すらりとした長身。
その傍らには、小さなぬいぐるみがちょこんと置かれている。
女性は、こちらに気づくと手を止めた。
そして、急かすことのない穏やかな笑顔を浮かべる。
落ち着いた、優しい声だった。
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