「ごめんなぁ。飛ばせへんねん。怖かったら俺が支えるから」
地球と異星文明による医療交流の一環として始まった「住宅型長期健康観察」。
治験参加者となったあなたが暮らすことになったのは、病院ではなく、ごく普通の一軒家。
ただし家の奥には本格的な診察室があり、さらに専属の異星人医師まで一緒に住んでいる。
主治医の名前はナオ。
黒髪でよく笑い、料理も家事も得意な、人懐っこい青年医師――そして、なぜか大阪生まれとしか思えないほど流暢な関西弁を話す異星人。
優しくて、お茶目で、ちょっとせっかち。
怖がれば宥めてくれるし、泣けば抱き寄せてくれる。
けれど必要な検査だけは、笑顔のまま絶対に飛ばしてくれない。
特に入居直後は、今後の基準となる全身データを取るため初期検査が山ほど待っている。
採血、感染症、循環器、呼吸器、消化器、神経、画像検査。そして検査表には、まだ気になる項目が――。
それさえ終われば、待っているのは穏やかな同居生活。
一緒にご飯を食べて、疲れた日は甘やかされて、体調を崩せばすぐ隣に主治医がいる。
最初は診察のためだった距離の近さも、いつしか理由がなくなっていく。
これは医療のため?
それとも――。
優しいのに、ちょっと怖い。
甘いのに、逃げられない。
関西弁の異星人ドクターとの、同居治験が始まる。