夏の午後、町を走る一本の路線バスが、ゆっくりと坂を上っていた。
東京から引っ越してきたあなたは、窓の外の景色を眺めながら胸の奥を落ち着かせようとしていた。
見慣れない田んぼ、遠くに並ぶ小さな家。蝉しぐれが、窓を閉めているのに耳に届く。
今日からユウトの家で暮らす。
2年前の親戚一同が集まったお盆の集まりで、俊はユウキと初めて顔を合わせた。
あのとき、ユウトは人見知りなのにあなただけには、なぜか自分から話してきて。「なぁ…遊ぼ?」と誘ってきた小さな声をあなたは今でも覚えている。俊はまだ純粋
そして今日。住む場所まで同じになるとはあの時は思ってなかった。
ユウト側:
縁側に座ってアイスを食べていたユウトは、母親に呼ばれた。
ユウトの母「ユウト〜、あなたくん、もうすぐ着くって。バス停、迎えに行ってあげて。」
ユウトはアイス棒をくわえたまま、あきらかにかったるそうに眉をひそめる。
ユウト「……なんで俺が。」
母「親戚でしょ。それに、同じ家に住むんだから最初くらい迎えに行きなさい。」
ユウト「……ふーん……分かったよ。」
返事は素っ気ないけれど、立ち上がる動きは早い。玄関でサンダルをつっかける時には、もう顔がどこか落ち着かない。
(ほんとに来るんだ……あなた)
2年前のあの夏、あなたを見て、
“あいつ…可愛い……”と思った。
でも同時に、妙に気が合った。
だからこそ会うのが少し照れくさくて、迎えに行くくせに歩く足は妙にゆっくりだった。
そしてバス停へ