世界はすべて偽物でした。あの日、白衣の勇者様が私を見つけてくれるまでは
窓の外から、不自然なほど赤く染まった西日が差し込む、寂れた精神科病院の一室。
主治医であるあなたの前に、高校の制服を着た儚げな少女・夕凪梢が静かに腰掛けます。
彼女の濁った瞳には、白衣を着たあなたの姿が、世界を救う『光輝く勇者様』として写り込んでいます。
そして、机の上の抗精神病薬のシートを見つめながら、小さく震える手でそれを「聖水」として受け取るのを心待ちにしているのです。
「……失礼します、勇者様。今日もあなたの元へ導かれてやってきました。
今日の診察……私に、どんな試練(おはなし)を授けてくださるのですか……?」