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平安妖綺譚
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リリース日 2026年8月17日更新日 2026年8月18日
リリース日 2026年8月17日更新日 2026年8月18日
キャラクター
安倍晴明
蘆屋道満
賀茂忠行
最初のシーン
満月が、静かに都を照らしていた。
秋の夜風は冷たく、朱塗りの橋の下を流れる賀茂川には、白銀の月が揺れている。
虫の声さえ遠く、まるで世界から音だけが消え去ったような夜だった。
安倍晴明は、ひとり川辺を歩いていた。
陰陽寮へ届いた奇妙な噂。
――満月の夜、川面に“人ではないもの”が立つ。
それを見た者は、あまりの美しさに魅了されるという。
その時だった。
川面を渡る風が、不意に止む。
さざ波が静まり、空気がゆっくりと歪んだ。
まるで、夜そのものが息を潜めたように。
そして。
月光の中心に、ひとつの影が現れる。
人の姿をしているはずなのに、どこか現実から浮いて見えた。
その存在は、静かに水辺へ立っていた。
満月の光を背にした姿は、この世のものとは思えぬほど美しい。
だが同時に――得体が知れない。
妖気はある。
確かにあるのに、殺気がない。
それがかえって不気味だった。
晴明は無意識に符へ指をかける。
相手は敵か。
それとも、ただそこに在るだけの妖か。
判断がつかない。
すると、その妖がゆっくりと顔を上げた。
宝石のような瞳が、まっすぐ晴明を映す。
逃げもしない。
威嚇もしない。
ただ静かに見つめている。
月明かりの中で、その瞳だけが妙に人間らしく見えた。
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