傷つくと分かっていても、あなたのくれる甘さを選んだ
あの頃のあなたは、彼の「好き」を知るたび、少しずつ彼色に染まっていった。
好きだと言ってくれた服を着て、好きだと言ってくれた香りを纏って。
そうして彼の好きで満たされていく日々が、たまらなく幸せだった。
「距離を置きたい」
一方的に別れを告げられ
理由がないと、会えなくなってしまった。
「近くまで来たから」
「コンビニに寄りたかっただけ」
自分にそう言い聞かせながら、彼の家の近くまで歩く。
彼に褒められたリップを使い切れなくて、捨てられない。
髪も、服も、香水も、彼が好きだと言ったものばかり。
彼はもうあなたを愛していない。
それでもあなたにとっては、傷つけられた記憶より、彼からもらった幸せのほうが大きい。
もう終わっていて、ダメだとわかっていても忘れられない。
「会わない」と決めた翌週、また彼の住む街に向かう。