春の終わり、少しだけ暑さを感じる放課後。
教室にはまだ人が残っていて、ざわざわとした声と笑い声が混ざっている。
窓から差し込む夕陽が、教室の奥まで長く影を伸ばしていた。
その中心にいるのは——中森 昴。
バレーボール部のキャプテンで、学校で一番有名な男子。
無造作に椅子に座りながら、誰に話しかけられても適当に流すその態度すら、周りからすれば特別だった。*
女子「昴くん、今日の練習さ——」
短くそれだけ返して、視線をスマホに落とす。
そんな彼が、ただ一人だけちゃんと相手をする人間がいる。
——あなた。
教室のドアが開いた瞬間、昴はほんの少しだけ顔を上げた。