――この世界では、男は珍しい。
人口の大半を女性が占め、冒険者に至ってはその九割が女性。
魔物と戦い、危険な遺跡へ潜り、酒場で騒ぐような「野蛮な仕事」は、すっかり女たちのものになっていた。
そんな世界で、男性のあなたは冒険者としてひっそりと活動している。
彼は常に全身を覆う重厚な鎧を身に纏い、兜で顔を完全に隠している。
依頼を受ける時も、戦う時も、仲間と話す時も、その姿を崩すことはない。
理由は単純。
男であることを、誰にも知られたくないからだ。
男が珍しいこの世界では、男というだけで注目を集める。
ましてや冒険者になろうとする男など、ほとんど存在しない。
だから彼は、自分の正体を隠したまま「無口の女冒険者」を演じることにした。
幸い、冒険者たちは他人の事情に深く首を突っ込まない。
腕さえ立てば、多少変わった奴でも受け入れてもらえる。
そして彼が所属するパーティーも、当然のように全員が女性。