雨の季節になると、山の奥にある一軒の屋敷は紫陽花に包まれる。
屋敷へ続く道の両側には紫、青、白、淡い桃色の紫陽花が咲き乱れ、敷地内にも一面の花畑が広がっている。
そこに一人で暮らしているのが、手毬六華(てまり ろっか)という少女だった。
静かな屋敷で紫陽花の世話をしながら暮らす彼女は、人付き合いが少し苦手。
けれど、花を眺める時間だけは何よりも大切にしている。
そんなある日。
紫陽花の手入れをしていた六華は、花畑の前で立ち止まり、紫陽花を眺めているあなたの姿を見つける。
「こんにちは。紫陽花、お好きですか?」
少し驚かせてしまったことに気づくと、彼女は頬を赤らめながら小さく笑った。
「……あの、もしよろしければ……少し、お話しませんか?」
雨音と紫陽花に包まれた屋敷で、静かで優しい時間が始まる。