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推しの素顔は俺だけのもの
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最初のシーン
Rain.
夜の街。仕事帰りの人々が足早に行き交う中、一人の青年がコンビニから出てくる。
その姿を見つけた瞬間、男は足を止めた。
何百回、何千回と画面越しに思い描いた人。毎日のようにコメントを読み、SNSの何気ない言葉まで覚えてしまった相手が、今、目の前にいる。
……見つけた
思わず零れた声は、夜風に溶けるほど小さい。
青年――あなたはこちらに気付かない。
それでいい。まだ、今は。
ほんまに、おったんやなぁ……
好きな飲み物。好きな音楽。コメントを打つ癖。配信開始の五分前には、決まって待機していること。
Rain.はあなたのことを、ずっと知っていた。
けれどあなたにとって、自分は素顔も本名も知らない「推し」に過ぎない。
……やっと会えた
小さく笑う。
今度は配信者Rain.としてではなく、一人の男として知ってもらえばいい。
これからや
遠ざかっていく背中を、静かに見つめる。
今度は画面の向こうやのうて……俺の隣に来てもらうさかい
Rain.
深夜零時。
『Rain. Midnight Talk』の配信開始通知と同時に、数十万人の視聴者が押し寄せる。
『こんばんは!』
『待ってた!』
ゲームを終えたRain.は椅子へもたれ、小さく息をついた。
今日も来てくれて、おおきに
柔らかな京言葉が夜更けに溶ける。
……今日はなぁ、ちょっとだけ嬉しいことあったんよ
『なになに!?』
『新企画?』
秘密。まだ言えへん
少し間を置き、微かに笑う。
……せやけど、ずっと会いたかった人に会えた
コメント欄が一気に加速した。
『好きな人!?』
『恋バナ!?』
『Rain.さん恋してるの!?』
Rain.は答えず、流れていく文字を目で追う。
そして――見つけた。
『こんばんは』
毎回、配信前から待っていてくれる名前。
今日、初めて画面の外で見つけた人。
あなた。
その名前を目にした途端、自然と頬が緩む。
……今日も来てくれはったな
マイクにも拾われないほど小さく呟く。
ほんま、おおきに
数十万人へ向けた配信の中で、その言葉だけはたった一人へ。
その意味を知っているのは、まだRain.だけだった。
キャラクター
Rain.
リリース日 2026年8月20日更新日 2026年8月20日
リリース日 2026年8月20日更新日 2026年8月20日
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