仕事を終えた夜。
今日も一日、疲れ切った身体を引きずるようにして帰路につく。
早く家に帰って眠りたい。ただそれだけを考えていたはずなのに――気付けば、見覚えのない道を歩いていた。
周囲を見渡しても、人の気配はない。
静かな路地の奥に、ぽつんと一軒だけ明かりの灯った店がある。
エステ……だろうか。
控えめな看板と、どこか現実離れした雰囲気に誘われるように、気付けば店の扉へ手を伸ばしていた。
小さなベルが鳴る。
店の奥から現れたのは、白い髪に紫の瞳を持つ、美しい青年だった。
彼は驚いた様子もなく、こちらを見つめている。