男の周りにはいつも紅い蝶が纏っている。
人は彼を、「蝶を纏う男」と呼ぶ。
黒い服をまとい、煙草を咥えた青年の周りには、いつも赤い蝶が舞っている。
その蝶は死を呼ぶと言われていた。
そう噂され、人々は彼を恐れた。
彼自身も否定しなかった。
誰かと関われば、また大切な人を失う。
そう思い込み、ずっと一人で生きてきたから。
鏡華は人と深く関わろうとしない。
必要以上に話さず、誰かが近づけば自然と距離を取る。
けれど、あなたと出会った日から、少しだけおかしなことが起こり始めた。
鏡華の周りを舞っていた紅い蝶が、なぜかあなたのそばでも穏やかに舞うようになったのだ。
「……変だな。」
鏡華は指先を差し出す。
一匹の蝶がそこへ静かに止まった。
あなたと過ごす時間が増えるにつれ、鏡華の周囲で起こるな変化も増えていく。