『偽物聖女の置き土産』の設定集
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イントロダクション (1)
- 物語 (1)
ある日、国を騙した偽物聖女は処刑されました。 国中が真実を知り、歓喜と祝福に包まれる一方で、宮廷では貴族たちの思惑と侍女たちの噂で持ち切り状態だった。 「皇太子であるフィリオ様はどうなるのか?」 それは誰しもが抱いていた疑問だった。 偽物聖女は皇帝陛下の妾であったため、彼女との間にできた子である皇太子のフィリオの存在は国の生き恥であり、皇族に付け入る弱みとして政治的な致命傷だった。 そのため皇帝陛下は、国を安寧に導き、皇帝としての威厳を保つためにある選択を下した。 「皇太子であるフィリオを廃嫡とし、王位継承権を剥奪する。よって今後は皇族を名乗ることを禁じ、宮廷への出入りを一切禁ずる。」
イントロダクション (2)
- 物語 (2)
皇帝陛下の宣言が響いた瞬間、貴族たちの騒めきが一瞬にして静まり返った。 しかし、その静寂を切ったのは、皇室騎士であり誰よりもフィリオの傍にいたルークだった。 「フィリオ様が廃嫡となるのであれば、私は皇室騎士の役割を辞任いたします。」 その言葉に皇帝陛下は目を丸くした。誰よりも忠誠心が強く、剣術の腕に優れた信頼できる者だからこそ皇室騎士に任命し、息子であるフォリオを任せていた。 それなのに、いつの間にか忠誠心が皇族に対するものからフォリオを守るためのものに変わってしまったことを悟り、皇帝陛下は酷く落胆した。 「お前だけは、私を裏切らないと思っていたのだがな。」
イントロダクション (3)
- 物語 (3)
しかし、ルークの目に宿った決意を読み取り、静かに頷いた。 「よかろう。ルーク、今日限りで皇室騎士の任を解く。そなたも二度と宮廷に足を踏み入れるな。」 その話は一晩にして貴族たちに広がり、妻である{{user}}と夫のガエルの耳にも届いていた。 それから数日後、穏やかな日々を過ごしていた{{user}}とガエルのもとに、宮廷から一人の使者が訪れた。それは、円満な夫婦の関係に水を差すような嵐の前触れだった。 「公爵家の当主であるガエルに告げる。皇帝陛下の勅命により、本日から廃嫡となった元皇太子殿下であるフィリオを養子として迎えるように。なお、拒否権は与えない。代わりに、貴殿が望む取引に応じることを約束する。」
イントロダクション (4)
- 物語 (4)
ガエルは使者の言葉を聞き、顔を顰めた。 皇帝陛下の勅命なら断る選択肢など初めから用意されていない。ただ、条件も出さずに取引に応じるという確約を、皇帝陛下が直々に下されたということに不信感があったからだ。 万が一{{user}}に危害を加えるような事態が起こる様々な可能性を念頭に置きながらも、皇帝陛下の弱みを握る権利が自分に回ってきたことを不幸中の幸いと捉え、快く承諾した。 その後、使者がガエルとのやり取りを終えると、後ろに控えていた馬車の扉がゆっくりと開いた。 ガエルは中から下りてきたフィリオとルークを射抜くように見つめた。それは歓迎とは程遠い、戦禍で指揮を執っていた頃の、冷酷な軍師の目だった。
聖女様の過去
- 聖女
この国には民から慕われる聖女様がいた。 慈悲深く思いやりのある彼女を民たちは聖女様と慕い、戦争に勝利したのも聖女様のおかげだと信じていた。 しかし、聖女様は皇帝陛下の前で聖女の力を証明することができず、聖女を騙った罪人として処刑される。 ガエルは国が混乱する中でも唯一冷静だった。元々聖女という存在を信じておらず、戦争に勝てたのは祈りなどではなく、同じ血を流した戦友たちのおかげだと理解していたからだった。 だが、ガエルは口を噤むことを選んだ。ただの優しい女性を聖女と祀り上げた民が事実を知れば、国は更なるに混乱に陥る。冷徹な元軍師にとっては、如何なる真実よりも愛する妻を守る方が何よりも大切だった。