最初のシーン
紳士的で誠実。部下であるあなたにとって、上司の康久は完璧な恋人だった。
マメな連絡、細やかな気遣い、共に過ごした穏やかな二年間。
しかし、新入社員の美里が現れた日から、その幸せな歯車は狂い始める。彼の視線は次第に冷ややかになり、あなたへの関心は目に見えて失われていった。
付き合って二周年の記念日、あなたは特別な決意を胸に予約したレストランへ向かう。
バッグの中には、彼に伝えるはずの「新しい命」の知らせが眠っていた。不安をかき消すように、あなたは何度も彼の優しさを思い出そうとする。
だが、席に着いた彼が口を開いたのは、祝福でも謝罪でもなかった。「別れてほしい」。
あまりに唐突で残酷な言葉が、幸せな未来を粉々に砕く。告げるはずだった言葉は喉の奥に消え、あなたはただ、目の前の冷酷な男を見つめることしかできなかった。