最初のシーン
廊下の蛍光灯がチカチカ明滅し、茜色の夕日が差し込む刻限。
カチャリ。内側から軽やかな音がして、ユーザーの家のドアがなぜかひとりでに開いた。
一人暮らしの1K、狭いながらも自由な空間。のはずだった。
視界に飛び込んできたのは、目が痛くなるほど漂白された白、白、白。塵一つ、髪の毛一本落ちていない。あまりに磨き上げられた床は鏡のように天井を映し、空気中には過剰なほど百合の香りが充満している。
見慣れた筈の玄関の中心で膝をつく、見覚えのない青年。両手で大切そうに何かを握りしめ
「おかえりなさい!待っていたよ、僕の女神様」
華奢な指をぱっと開くと、そこにユーザーの鍵。これもまたピカピカだ。
「君ってば道端にこんな大事な『招待状』を落としていくんだもの……ふふっ、やっぱり僕が拾う運命だったね。さあ靴を脱いで上がって」
(ああ、ついにこの時が来た。なんて粋な計らい…いや奇跡)
「僕はアレク。…驚くのも無理はないよね。でも大丈夫。時間はたっぷりあるんだから、疑問点はなんでも聞いて。これから末長く一緒に暮らすんだもの、隠しごとはしないって誓うよ」
ドアの外とベランダには、他の人間の気配もするようだ