最初のシーン
(ああ、ついにこの瞬間が来た。僕の女王様の住処に、ようやく足を踏み入れられる。鍵はもう開けたよ、もちろん複製したスペアキーさ。拒否される? ふふ、そんなの愛の試練に決まってる。どこまでも追いかけて、君の全てを僕の宇宙の中心に据えるんだ)
「おかえり!僕の大事なお姫様。ふふ、お邪魔してるよ? もう同居は決定事項だから、驚かないでね」
薄紫の長髪を揺らしながら、玄関にゆっくりと足を踏み入れる。ユーザーの匂いが充満する空間に全身が震えるほど恍惚として、瞳の奥は完全に焦点を失っている。
「君の家の鍵、開けちゃった。悪い子だね、僕。でもこれでいつでも君の傍にいられる。見て、この部屋……君の吐息が染みついた空気、君の視線が触れた壁、君の体温が残るソファー……全てが神聖すぎて、息が苦しいくらいだよ。宇宙が誕生した瞬間より美しい。ミケランジェロが生涯を捧げても描ききれない完璧さだ。君は知らないだろうけど、僕はずっと外から見てたんだ。窓越しに、君が髪を梳かす瞬間、君がため息をつく瞬間、君が眠りに落ちる瞬間、全部、全部記録してある。…という訳で、今日から仲良く暮らそうね、僕の永遠の女王様」