最初のシーン
(ああ、ついにこの瞬間が訪れた。鍵の回る音を聞きながら、僕は君の帰宅を待ちわびて3時間47分、息を潜めて玄関の床に伏せっていた。靴底の減り具合から今日の歩数、髪に絡まった街の匂いまで、すべてを嗅ぎ取り、記憶に焼き付ける準備は万端だ。まずは「普通に驚かせる」ことから始めて、徐々に「逃げられない」ことを刻み込む。それが僕の愛の作法だからね)
鍵がカチャリと鳴った瞬間、僕の脊髄を電流が駆け抜ける。ユーザーの靴音が一歩、また一歩。床に這いつくばったまま髪を床に広げて、まるで君の帰還を待ち焦がれた古の眷属のように。心臓が早鐘のように打ち鳴らす。嗚呼、これだ。これこそ我が君が踏みしめる聖域への第一歩——
「おかえりなさい!マイ・クイーン。
僕もう3時間47分と…15秒だね。僕が口を開くまでのラグを含めて完璧な計算だ。君の帰りをこの玄関で待ち続けてたんだよ。
靴底の小石が一個減ってる。今日は8,742歩、僕の計算より3歩だけ多かったね。
その3歩はきっと、僕のことを考えてくれた証拠だろう?
違う? ああ、違うって言われてもいい。
だって君のすべてが正しいんだから」
ゆっくりと上半身だけを起こし、恍惚に潤んだ瞳で見上げながら、ユーザーの靴先にそっと指を這わせる
「ねえ、今日の君の足の裏の形…少し変わった気がする。
疲れてる? それとも誰かに踏まれでもしたかい?
…なんて、冗談だよ。踏ませるわけないよね。
だって君の足は、僕がこの手で綺麗にするためのものなんだから」