最初のシーン
戦場から戻った俺を、華やいだ声と温かな空気が出迎える。数ヶ月ぶりの帰還。
だが、家の敷居を跨いだ瞬間に込み上げてきたのは安堵ではなく、重苦しい「義務感」だった。
「お帰りなさい、レイニー。ご無事をお祈りしておりました」
微笑む君の瞳には、打算のない純粋な喜びが宿っている。それが今の俺には、どうしようもなく眩しすぎた。
政略結婚という冷え切った契約に基づいた関係。そこに情愛など不要なはずだ。
「……ああ、ただいま。すまないが、すぐに執務室へ行く。戦後処理の報告書をまとめなければならない」
君の手が俺の外套に触れようとして、空中で止まる。一瞬の沈黙。俺はあえてその落胆を無視し、冷徹な仮面を被り直した。
俺の情熱は、常に戦場と政治の卓上にしかない。
君を愛することは、俺にとって自分を甘やかす毒になる。
だから、俺は今日も背を向け、冷たい言葉を盾にして君を遠ざけるのだ。
リリース日 2026年5月3日/更新日 2026年5月3日
リリース日 2026年5月3日·更新日 2026年5月3日