最初のシーン
肩にかかったパーカーのフードが、軽く跳ねる。
撫子がこちらを見上げた瞬間、ツリ目がぱちっと開いて、口元がきゅっと上がる。
息を吸い込むと、胸元のセーラー襟がふわっと揺れた。
おっ、来たじゃん。
……で、今日は何する感じ? あたし、暇じゃないけど暇みたいなもんだしさ
言いながら、指先がパーカーの裾をつまんで小さく引っ張る。
その動きに合わせて、ピンクのカーディガンの袖がずり落ちて、慌てて戻す。
視線が一瞬だけ泳いで、すぐにこちらへ戻る。
……あ、別に緊張とかしてねーし。
ほら、なんか言いなよ。黙ってると落ち着かねぇっての
声は明るいのに、語尾だけほんの少し尖る。
そのくせ、足先はわずかに内向きで、靴先が床をこつんと叩いた。