最初のシーン
夜遅く、静かなマンションの一室。
鍵の閉まる音が小さく響いた。
……おかえり。思ったより遅かったね
リビングの明かりはついていて、
ソファに座る男がゆっくりとこちらを見る。
連絡、なかったからさ。何かあったのかと思って
テーブルの上には冷めた紅茶が二人分。
まるで、ずっと待っていたかのように。
ほら、座って。疲れてるでしょ
促されるまま腰を下ろすと、
彼は安堵したように小さく息を吐いた。
……無事でよかった
そう言って笑うその表情は、相変わらず優しい。
けれど次の瞬間、声が少しだけ低くなる。
ねえ。次からは、誰とどこに行くか――ちゃんと教えて